
長年、終身雇用や年功賃金が一般的だった日本の雇用慣行に、近年変化が見られています。
社会環境の激変もあり、欧米の雇用慣行も参考に成果主義へのシフトを進める企業も増えているようです。
大手を中心にジョブ化を目標とした制度改革が活発化しています。
ただ個人目線では「いまさらそんな働き方は出来ない」とか「リストラされるリスクがあるじゃないか」といった懐疑論もよく聞きます。
SNS上でもフォロワーの多いビジネスパーソンが意外と消極的スタンスだったりして驚かされます。
結論から言うと、そういう消極的なスタンスそのものが今後は非常に高リスクになると考えられます。
日本的雇用慣行の特徴は?
日本的雇用慣行は「職能型」と言われ、「終身雇用」「年功賃金」「企業別労働組合」などの特徴があります。
将来的な賃金アップと定年までの雇用が確保されているので、社員は安定感のなかで仕事に取り組むことができ、会社にも愛着が湧きやすいという利点があります。
定年までの雇用を前提としているが故に、新入社員に多くの時間や労力を割いて訓練ができるのです。
時代の変化で日本的雇用慣行に揺らぎ
1990年代初頭のバブル崩壊後に、日本の社会環境は大きく変化しました。
経済がグローバル化して成果主義、能力主義の浸透が始まり、キャリアアップのための転職も珍しくなくなります。
さらに、ITなど技術革新のスピードも急速に進み、長く働いている社員ほど、技術や経験があるという年功型の前提は揺らぎ始めました。
また働き方の多様化が進む中で、各企業は雇用者に対して職務や勤務地、労働時間に配慮した条件整備も迫られています。
こうして時代の変化とともに、従来の日本的雇用慣行は課題を指摘される機会が多くなってきたのです。
高度成長期に定着して長く経済発展に貢献してきた日本的雇用慣行ですが、現在は社会環境も激変しています。
企業に属する社員の働き方への意識も大きく変わり、日本の雇用システムにも変化が見られています。
しかし、欧米型をそのまま取り入れるなど急な転換を図っても混乱を招く危険性が高くなります。
日本型のメリットも十分考慮しながら、最適な雇用システムを目指していく必要があるでしょう。
ジョブ化は、欧米で昔から主流だった雇用方法です。欧米では「成果主義」の概念が強く日本のように年齢や勤続年数は評価されません。
仕事ありきで人材を雇用するため、人材の流動化が激しく、転職も当たり前です。
従来型雇用との違い
従来型雇用は、業務範囲を指定せずに人材を確保し、採用後に担当業務や配置を決める雇用方法を指します。
「メンバーシップ型雇用」とも言われており、新卒一括採用が代表例です。
ジョブ型雇用の導入が増えている背景
最近は、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移行しようとする企業が増えています。
ジョブ型雇用が増えている主な理由が、DXの推進や、新型コロナウイルスの流行です。
デジタル技術の進化により、近年は各業界でDXが進んでいます。
DXに必要な高い専門性を持った人材を確保するためには、必要なスキルや業務領域を明確にしたうえでの雇用が効果的です。
また、新型コロナウイルスの流行は、ジョブ型雇用の導入を加速させるきっかけとなりました。
テレワークでは、仕事への態度や労働時間などを正確に確認できません。
しかし、ジョブ型雇用の場合は「成果」が重視されるため、テレワーク下においても評価しやすい特徴があります。
ほかにも、労働力不足の進行や企業競争の激化も、ジョブ型雇用が注目されている要因です。
企業を取り巻く環境が激しく変化している中、ジョブ型雇用は企業成長に向けた一手となり得るでしょう。
まとめ
ジョブ化という、誰にでも公平なチャンスをもたらすことになる新制度を前に、真っ先に賃金カットされるんじゃないか。
「リストラの口実なんじゃないか」なんてリスクイメージしか頭に浮かばないような人たちが多いようです。
働き方そのものを見直し、生産性を底上げするには、業務範囲を明確化し、裁量も合わせて委譲するしかありません。
今日本企業は激変期と言ってもいいほどの荒波に次から次へと襲われている最中なんです。
その根底にあるのは「年功序列・終身雇用制度ではもはや新たな状況変化に対応できなくなっている」ということなんですね。
これらの荒波を乗り切るにはジョブ化という板を乗りこなすしかないわけです。
参考サイト
https://agora-web.jp/archives/221027062417.html
https://saiyo-kakaricho.com/wp/job-type-employment/
https://hr-trend-lab.mynavi.jp/column/recruit/1247/